院長VS雪A(更生医療指定機関について) |
顎変形症としての治療(手術を伴う歯科矯正)は、 1)更生医療機関として都道府県知事に指定されている、 2)顎変形症を保険で行うという、届けが出ている施設 において、保険適用になります。 言い方を変えれば、更生医療機関として指定されていない施設では、始めから保険適用にならないということですし、指定されていても、顎変形症に対する届け出がされていない場合には、保険適用にはなりません。都道府県知事に指定というと、なんだかもの凄く良いもののような気すらするものですが、指定されるされないという違いは何なのでしょうか。 雪: 「顎変形症の患者さんが保険治療するために施設の方では、"更生医療指定機関"と"顎変形症の届け出"の2つが必要なんですね。 院長: 「更生医療機関として施設が指定されるためには、設備の基準と適切な医療機関で、5年以上の矯正臨床経験、及び、口唇口蓋裂の治療経験のある歯科医師が常勤している等、の要件を満たすことが必要です。それを書類で提出して指定を受けるわけです。さらに、更生医療指定機関に顎変形症に保険を適応するためには、指定された器材の設置が必要です。その器材を設置して届けを出すと、顎変形症を保険でやっていいですよと書類が来ます。」 雪: 「更生医療指定機関というのは、別にそういう指定がされていないところが・・設備が不備だとかっていうことではないですよねえ?」 院長: 「設備に関しては、矯正専門の医院ならどこでも有るレントゲンが必要になるだけで、後は資格です。 大学で矯正を専門に5年程度勉強してきた先生であれば、開業と同時に更生医療指定機関として指定を受けるのは難しくないと思います。私が申請したときは、東京都に日本矯正歯科学会の認定医ですかと聞かれ、コピーをつけた記憶があります。ただ、書類審査に期間がかかります。」 雪: 「顎変形症を保険でやるのに、必要な器材ってどんなのですか?」 院長: 「下顎運動検査あるいは舌接触運動検査のいずれか一方と、咀嚼筋筋電図検査が行える機器、この2種類の器械を用意していないと、認可されません。」 雪: 「下顎運動検査器って、この器械ですよね・・顎の運動でしたっけ?」 院長: 「顎の動きを記録するための装置です。現在、タッピングと呼ばれる上下の運動とガムを咬んでいる状態の記録を取っています。」 雪: 「顎変形症の治療にどういう風に役立つのですか」 院長: 「私が勉強不足なのでしょうか、検査時の顎の運動の状態は分かりますが、治療に役に立つかと言われると・・・」 雪: 「治療に役立つのかどうか良く分からない、というものが、なぜ必要なんですか?」 院長: 「決まりですから」 雪: 「この、下顎運動測定器以外に、これがないと認定されないというものはありますか?」 院長: 「さっき言ったように、下顎運動測定器か、舌接触運動検査器(パラトグラム)のいずれか一方と、咀嚼筋筋電図検査器(筋電計)が必要になります。」 雪: 「キンデンケート??」 院長: 「筋電計、・・筋電図、筋肉の電気量を測るものです。これは必要です。うちでは、最大噛みしめ時のデータを重要視しています。」 雪: 「パラトグラムって」 院長: 「べろの着く位置を記録する装置です。で、私が届け出を出した際に聞いた話では、パラトグラムはもう日本で生産していないということでした。今は解りませんが。」 雪: 「その3つのうち、2つあれば・・」 院長: 「2つなければいけない」 雪: 「結構高額なものじゃないんですか?」 院長: 「高額ですね。でも、ないと認可を受けられない。」 雪: 「器材があるかどうかを見に来るんですか?」 院長: 「そう言う話は聞いたことがありません。」 雪: 「では、ありますよって言って認可を受ければいいんじゃないですか」 院長: 「でも決まりですから。」 雪: 「見に来たときになかったら、罰則ってあるんですか?」 院長: 「それまで受け取った保険のお金を返さなくてはいけないとか、たしか3つぐらいありました。」 雪: 「・・保険適用になったのも、つい最近のことですよね。平成8年でしたっけ・・」 院長: 「その前に、まず大学病院の矯正科で保険が利くようになった。そのころは、そのような機器が必要だとは言われなかった。」 雪: 「へえ・・。話は戻りますけど、認可される為には、その決められた機器が必要なんですね」 院長: 「そう、だから・・認可がどうのというのは、治療医の腕をはかるものでもないし、スムーズに治療をしていて、患者も納得していていれば良いと思います。例えば大学病院は教育機関です。矯正専門医を育てるところでもあります。当然更生医療指定機関ですので保険適応です。卒業したばかりの新人の先生に治療されていても、保険適応です。そこで満足のいく治療がされるかどうかは、解らないですよね。」 雪: 「顎変形治療を保険でやらない先生もいるのに、院長はなぜ機械を買って、保険治療をしようと思ったんですか?」 院長: 「顎変形症というのはちゃんと咬めないと言う病気で、その治療は医療だと思っているからです。医療なら保険が利いて当たり前。美容整形とは違う。あと、患者さんが喜んでくれると思ったからというのが大きいかな。」 雪: 「そうですよね。金額の違いはありますけど・・やっぱり保険のほうが良いとは思います、そりゃあ、お金かからないほうがいいですし。・・でも、出す価値のあるものだと思いますけど」 院長: 「雪さんはもともと、たとえ整形でも構わない、ちゃんとなったらっていう・・その・・ちゃんとした事をされるのであれば、お金は出しても構わない的なところが初診の時からあった」 雪: 「ええまあ(^^」 院長: 「で、保険適用となって、安く済むのなら、それに越したことは無いという感じで」 雪: 「そうですね。あ、ラッキー、という・・」 院長: 「だからそんなに、指定機関がどうのっていう事に抵抗が無いんでしょうけど、患者さんによって考え方は違いますから・・結構難しいですよね。」 *まとめ* 院長ははっきり言うのを避けていましたが、更生医療指定機関イコール治療医の腕、とはいえないし、必要だといわれている器材にしても、これが無くてはまともな治療が出来ない、というような器械では無さそうだ、ということを感じました。何を重視するのかは、患者さんそれぞれの考え方ですが、納得のいく治療がされていれば、指定機関でなくても、お金がかかっても、それに見合うものを手にすることが出来るのではないでしょうか。指定機関ではないけれど、腕の良い先生はいるし、実際何人も知っていると院長も仰っていました。 まるで尋問のごとく、色々聞きました。文章にして読むと、仲悪そうな会話っぷり(^^ですが、終始和やかムード(多少院長が押され気味)でした。知らない世界をちょっと見せてもらった気がして雪は満足♪ |